国際ロマンス詐欺

結婚詐欺にあたる行為はどこから?詐欺罪とされないケースと返金のためにできること

結婚詐欺は昔からある犯罪行為で、「結婚の意思がないのに結婚前提を装い、相手から金銭や財産を騙し取る」手口が特徴です。
「結婚前に借金を清算したい」
「結婚をきっかけに会社を辞め、独立するので資金が必要」
などと偽ってお金を要求したり不動産を購入させ、お金や不動産を手に入れた途端連絡が取れなくなるケースが知られています。
今回は結婚詐欺被害に遭った時、返金のために知っておきたい詐欺罪が認められる条件について解説します。

国際ロマンス詐欺は以下の記事で詳しく解説しています。
『国際ロマンス詐欺とは? 手口・対策・実際の事例などを徹底紹介』

【この記事でわかること】

  • 詐欺罪が認められる行為の条件4つ
  • 結婚詐欺の具体的な罰則
  • 結婚詐欺が認められないケース
  • 返金の可能性を高める方法
  • 結婚詐欺の相手を逮捕したり、返金や慰謝料を請求するために必要な条件を知り、自分でできることを始めましょう。

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    結婚詐欺にあたる行為はどこから?詐欺罪に当たるケース


    結婚詐欺は金銭を失うとともに、結婚相手と信じていた相手に裏切られるという精神的ダメージを与える卑劣な犯罪です。
    泣き寝入りすることがないよう対策するべきですが、結婚詐欺とひとことで言ってもどんな行為が実際に犯罪として認められるのかわからないことも多いでしょう。

  • 欺罔行為が認められる
  • 錯誤したと認められる
  • 財物の交付があったと認められる
  • 上記の条件に因果関係が認められる
  • このような条件の場合、結婚詐欺が認められる可能性が高いため、それぞれ詳しく見ていきましょう。

    条件①欺罔行為が認められる

    欺罔(きもう)行為とは、詐欺的行為で相手に虚偽のことを信じさせ、錯誤させること、あざむくことです。
    結婚詐欺における欺罔行為とは、「被害者の財産を詐欺師に引き渡すために嘘をつくこと」を指します。
    例えば「既婚者であるのに求婚すること」や、「結婚する意思がないのに、結婚後一緒に住む家を買おうと持ちかける」ことなどが具体例です。
    欺罔行為には、積極的に嘘をつかない場合も含まれており、「既婚の事実を伝えなかった」場合などの真実を伝える必要があるのにあえて伝えない行為(不作為による欺罔行為といいます)がこれにあたります。

    条件②錯誤したと認められる

    結婚詐欺の成立には、欺罔行為により、被害者が事実と認識が一致しない「錯誤」の状態に陥った事実が必要です。
    そのため、被害者が錯誤の状態に陥っていなければ詐欺罪は成立しません。
    相手の嘘を見抜いていたけれどあえて知らないふりでお金を渡したり、気づかないうちに財布や口座からお金が抜き取られた場合などがこれにあたります。
    これらは詐欺未遂罪や窃盗罪に該当する場合がありますが、詐欺罪にはなりません。

    条件③財物の交付があったと認められる

    財物の交付とは、財産自体や財産の利益を加害者側へ移転させることを指します。
    結婚詐欺では「騙されていると知らずに、相手に要求され財産を渡した」事実が必要になります。
    交付行為は加害者に対し直接金銭などを移転することなので、例えば「結婚の約束をしたのでもう財産は共有だと言われ、加害者が財布のお金を勝手に使った」場合は詐欺罪ではなく窃盗罪になります。
    これに対し「結婚の約束をし、財産の共有を求められたので相手に財布を渡した」場合は詐欺罪になるでしょう。

    条件④それらの条件に因果関係が認められる

    上記の①②③が揃ってはじめて結婚詐欺が認められます。
    どこか1つでも因果関係が途切れた場合には、詐欺罪ではなく「詐欺未遂罪」になります。
    例えば「求婚されて承諾した後、相手が既婚者だとわかったがお金を要求されて断れず渡した」場合は被害者が錯誤に陥っていないため因果関係が認められないでしょう。
    また、「結婚の約束をした後、お金を要求されたが払わなかったらしつこくずっと要求され続け生活に支障が出た」場合は財物の交付がないため因果関係が認められない可能性が高いでしょう。

    結婚詐欺と認められたらどうなる?罰則について


    結婚詐欺にあたる行為の条件が揃った場合、詐欺罪として立証することになります。
    実際に結婚詐欺が認められた場合、どんな法律で罰則が決められているのか、時効や保護法益についても解説します。
    また、詐欺罪が成立するタイミングは以下のようになります。

  • 着手時期:加害者が被害者の財産を騙し取る意思を持って、人を欺く行為をした時点
  • 既遂:人を欺く行為から実際に財産が引き渡された段階
  • 未遂:人を欺く行為で詐欺に着手するも、財産の引き渡しに至らない段階
  • 詐欺罪は「人を欺く行為をした時点」で詐欺未遂罪は成立するということを覚えておきましょう。

    刑法第246条の詐欺罪に該当する

    詐欺罪は刑法の第246条に以下のように定められています。
    第246条
    人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
    前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
    10年以下の懲役という重い刑罰が課せられていることから、詐欺の卑劣さがわかりますね。
    詐欺罪の公訴時効は7年で、詐欺行為があってから7年以内であれば立件し訴追することができます。

    結婚詐欺にあたる行為だと認められないケースは?


    結婚詐欺に遭ったと気づいた時、詐欺罪として立件するためには前述のように4つの条件が必要です。
    結婚詐欺師も巧妙な手口でお金を騙し取ることに長けていますので、条件に満たない場合や条件を満たしているか判断が難しい場合も多いのが現状です。
    以下のような場合は詐欺罪が認められるか判断が難しい場合がありますので、当てはまるかどうかチェックしてください。

  • お金や財産の被害が発生していない場合
  • お金や財産の移動があったものの逃げられていない場合
  • 被害者が自分の意思でお金や財産を渡している場合
  • 結婚の意思がはっきりと認められない場合
  • お金や財産の被害が発生していない場合

    詐欺罪の成立には「被害者が騙されていることを知らずに財産や財産上利益を引き渡す」ことが重要です。
    結婚するはずの相手に「必ず返すからお金を貸して」と言われ、要求された額を貸した途端連絡が取れなくなった。
    というのが結婚詐欺の事件例としてニュースなどでも取り上げられています。
    そのためお金や財産の被害が発生していなければ不成立になる可能性があります。
    例えば「予約していた式場のキャンセル料」や「一緒に住むために支払った家の契約金や家賃」「旅行の予約代金やキャンセル料」などは直接加害者に財産を引き渡していないため、詐欺による財産の被害とは認められないことが多いようです。

    お金や財産の移動があったものの逃げられていない場合

    結婚予定の相手にお金を貸して欲しいと要求され、約束の返済期日を過ぎても返してもらえない。
    という場合で相手と連絡が取れる状態であれば、詐欺罪とは認められないでしょう。
    結婚詐欺師はある程度の金銭を騙し取ると、連絡を断ち行方をくらますのが常套手段です。
    しかし、搾り取れるだけお金を騙し取ろう」と考える詐欺師もいて、事故や病気などのトラブルに巻き込まれたことを装い、実際会うことはできないけれどメールなど連絡を取り合うことは可能な状況を仕立て上げ、さらにお金を要求してくる場合もあります。
    「連絡が取れる」という状態では、「騙すつもりはない」「返済するつもりでいた」「お金を返すつもりで貯めていた」などの言い訳が通用してしまうので、連絡が途絶える前に借用の証拠を押さえておくことが重要です。

    被害者が自分の意思でお金や財産を渡している場合

    結婚詐欺における詐欺師の逃げ口上で多いのが「相手が自分からお金を渡してきた」「自分からお金を要求していない」というものです。
    結婚詐欺は恋愛感情や将来の生活が絡むため、普段なら信用しないような身の上話やあり得ないトラブルも信じてしまいがちです。
    結婚詐欺師はそんな被害者の心理を巧みに利用し、同情を誘って自らお金を渡すように誘導します。
    結婚詐欺が認められるには「騙されてお金や財産を引き渡した」ことが条件ですので、自分から渡してしまった場合は詐欺罪とは認められないのです。

    結婚の意思がはっきりと認められない場合

    結婚詐欺では、被害者の精神的苦痛を考慮してただ金銭を騙し取る詐欺よりも罪が重くなる傾向があります。
    結婚詐欺師はそれを知っているため、いざ訴えられた時のために「結婚の意思はなかった」と言い逃れ罪を軽くしようとします。
    「結婚の口約束のみで、記録も証拠もない」場合は結婚詐欺と認められない可能性があります。
    通常結婚の約束をした場合、メールや電話でも結婚についてやり取りがあるでしょうし、家族や友人へ報告もするでしょう。
    はっきりした結婚の意思があったかは、客観的に誰から見ても結婚を前提としたお付き合いをしていた証拠が必要です。
    相手からの結婚の意思を示したメールや、2人で結婚式場の下見や予約をした事実、婚姻届の証人欄に記入があることなどは証拠になりますので、結婚詐欺として相手を訴追できる可能性があります。

    結婚詐欺かも?返金の可能性を高める方法


    結婚詐欺が認められる条件が揃っていれば、金銭的な損害が生じていることでしょう。
    貸したり渡したお金は全額取り戻したいですよね。
    さらに、結婚詐欺では精神的苦痛や権利の侵害に対する慰謝料も請求できる可能性があります。
    返金の可能性を高める方法として以下の方法を紹介します。

  • 証拠になりそうなものは全て取っておく
  • お金を貸すときは借用書を作るようにする
  • 早い段階で信頼できる弁護士に相談する
  • 結婚詐欺師は身元を偽っているため、行方がわからなくなった後では特定が難しくなります。
    そのため専門家へ相談するとともに、自分でできることはなるべく早く始めましょう。

    証拠になりそうなものは全て取っておく

    結婚詐欺が認められるためには、相手に明確な「騙す意思」があり、「お金や財産を要求した」証拠が必要です。
    具体的な証拠としては

  • 結婚の意思がわかるメールやメッセージ
  • 交際の事実がわかる一緒に撮った写真
  • お金を要求された文面のメールやメッセージ
  • 借用書や振込み記録
  • 婚約や結婚指輪の領収書
  • マッチングアプリなどのプロフィールのスクリーンショットやコピー
  • などが挙げられます。
    それぞれ日付や時間、場所までわかるようにしておくとさらに証拠として有効になる可能性が上がりますのでわかる範囲で記録しておきましょう。

    お金を貸すときは借用書を作るようにする

    通常であれば、他人にお金を貸すときは借用書作るでしょう。
    しかし、結婚する予定の相手ならば家族同然と借用書を作らずにお金を貸してしまうかもしれません。
    貸す金額が少額であれば尚更ですが、結婚詐欺師はそんな人間の心理を巧みに利用します。
    少額の借金を繰り返し、結果高額を騙し取られた例も多くあります。
    借用書は親しい間柄でも必ず作ることをおすすめします。
    自分で作成することが不安な場合は、弁護士に相談しましょう。

    早い段階で信頼できる弁護士に相談する

    将来を約束した相手を疑うことは、心が痛むかもしれません。
    しかし、結婚詐欺だった場合はそれ以上の精神的苦痛と金銭の損害を受けることになるでしょう。
    結婚詐欺の被害を回避するためにも、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
    「勤務先や家族構成を聞いてもはっきり答えない」などの不審な点や、「結婚を承諾した途端お金が必要になるトラブルに巻き込まれた」場合などは相談してみてもよいでしょう。
    また、結婚詐欺に遭ってしまった場合もすぐに弁護士に相談することをおすすめします。
    返金や慰謝料請求ができるよう、必要な証拠はないかなども相談に乗ってもらえますので、諦めずにとことん追求しましょう。

    まとめ|結婚詐欺にあたる行為に認められれば返金の可能性が高まる


    結婚詐欺を認めてもらうためには条件があり、必要な証拠も揃えなければなりません。
    しかし証拠が多ければ多いほど返金の可能性が高まりますので、自分でできる範囲でできるだけ多くの証拠を集めましょう。
    結婚詐欺の解決事例が多い弁護士を選んで早い段階で相談することで、返金や慰謝料について必要な証拠がわかります。
    初回相談は無料でおこなっている弁護士事務所も多いため、費用の見積もりも含め問い合わせてみることをおすすめします。

    局長
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