国際ロマンス詐欺とは「SNSやマッチングアプリでコンタクトを取り、恋愛感情を抱くようになった後お金を要求されたり投資に誘われてお金を騙し取られる詐欺」のことです。
国民生活センターに寄せられた相談件数は、2019年は5件でしたが、2021年は192件とわずか3年の間になんと40倍近くに増えています。
これから出会いや結婚を求めて活動しようとしている方や、現在活動中の方が国際ロマンス詐欺の被害にあわないために、実際の詐欺被害事例を紹介し、危険なポイントと対策について解説します。
【この記事でわかること】
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Contents
国際ロマンス詐欺の実際にあった事例について
国際ロマンス詐欺はここ数年で急増していて、被害相談件数からもその増加率が高いことがわかります。
外出や会食が制限された世の中の状況に伴い、SNSやマッチングアプリを利用した出会いが一般化してきたことが一つの理由です。
国際ロマンス詐欺はそんな社会情勢を巧みに利用した卑劣な犯罪です。
出会いから国際ロマンス詐欺の被害に至るまで、どんな経過を辿っていくのか実例を見ていきましょう。
事例①外国人を名乗って150万円騙し取ったケース
京都府在住の55歳男性と、長野在住の63歳男性から合わせて150万円だまし取った事例を紹介します。
犯人はグループで、代表は住所職業不詳の58歳の日本人です。
犯人の代表はガーナに住んでおり、日本にいるグループのメンバーに指示を出していたとみられています。
マッチングアプリ内で、海外在住の日本人医師やアメリカ人のライターを名乗り、男性らに恋愛感情を抱かせた上で生活費などを要求しだまし取っていました。
このグループで検挙されたのは日本国内に15人で、代表に送金した総額は3億9千万にのぼり被害者は男女合わせて65人もいたのです。
この事例は、外国人女性と名乗った犯人が被害者に対し何度も「本気で結婚する意思があるか」を探ったり、世界を飛び回って大きな取引をしているなど「自分の仕事が魅力的だとアピールする」ことで、実際合わなくても恋愛感情を抱かせるのがうまいことが特徴です。
事例②SNSで出会った男性に騙されたケース
40代の女性が、SNSで知り合ったカナダ人の36歳男性を名乗る人物に騙されたケースを見てみましょう。
SNSで知り合った後、LINEで1日に40回以上もやり取りを重ねるなかで、恋愛関係から結婚を仄めかす言葉が頻繁に出るようになりました。
日本人では言わないような甘い言葉に、すっかり心が奪われてしまったと被害女性は話しています。
そして1週間後に投資サイトに登録させられます。
「2人の将来のため」と勧められるまま投資をし、400万以上の利益が出てどんどん入金を重ねていきます。
「1度出金したい」と伝えると、出金には税金が必要だとさらに100万円要求され、払えないと伝えると「払えなければもう会えない」など強迫的な言葉を何度も言われた結果、総額1200万円もの被害に遭ってしまいました。
結局相手とは1度も会うことはなく、冷静になって警察に届けたことで事件が発覚しましたが、まだ相手の特定や逮捕には至っていません。
事例③マッチングアプリから投資に誘導されたケース
この事例は、マッチングアプリで知り合い仮想通貨に投資するよう誘導されたケースです。
被害者は40代の女性で、被害総額は4,600万円にも及びました。
犯人はポールと名乗る56歳男性外国人で、フランス国籍東京在住の金融系というプロフィールでマッチングアプリに登録していました。
被害者はマッチングアプリに登録した日にポールと出会い、すぐにLINEでメッセージのやり取りが始まります。
マッチングから数日後には仮想通貨への投資を持ちかけられ、「愛している」「永遠に一緒にいたい」など愛情表現がエスカレートしたことから相手を信用し、仮想通貨に送金します。
「私たちの家を買えそうだ」など結婚を匂わせる言葉に加え、投資に利益が出て還元されたことでさらに信用して投資額を増やしました。
さらに投資を要求され、断るとポールから仮想通貨の口座に5,200万円振り込まれますが、「出金のためには税金2,700万円が必要で払えないとポールからお金を騙し取ったことになってしまう」と言われ、借金して入金しました。
しかしその後出金はおろか、税金を払うよう追加請求が続いたためやっと国際ロマンス詐欺に気付き警察に届けました。
ポールとのやりとりは、翻訳機能を使った日本語で、不自然なやりとりも日本語に不慣れだという理由で納得したというのがこの事例の特徴です。
実際の事例から分析する国際ロマンス詐欺の特徴
実際の事例を見ると、グループ犯罪であったり現金ではなく仮想通貨への投資を利用するなど、国際ロマンス詐欺がかなり巧妙に仕組まれていることがわかります。
しかし出会いのきっかけや、お金の要求が段階的であるなど、国際ロマンス詐欺の特徴的な部分もいくつかわかります。
ここでは国際ロマンス詐欺の特徴を実例から詳しく分析してみましょう。
出会いはSNSやマッチングアプリであることが多い
国際ロマンス詐欺の多くは、SNSやマッチングアプリで出会うことから始まります。
SNSやマッチングアプリの利用者はかなり多く、登録が簡単で他人を装うことも可能な上、直接メッセージを送れることから国際ロマンス詐欺に悪用されることがあります。
また、恋愛や結婚を目的にしている男女は年齢がさまざまで、資産や貯金がありそうでSNSに詳しくない高齢のターゲットを探すのには好都合という点が挙げられます。
外国人を装って口説いてくる傾向にある
外国人を装って口説き、恋愛や結婚を意識させ相手の心を掴むのが「国際ロマンス詐欺」の特徴です。
メッセージのやり取りだけで恋愛関係になるには、熱烈な愛の言葉を常に送ることが必要で、日本人にはない習慣のため外国人を装うことで自然に口説けるためです。
また、外国人であれば日本と外国を行き来していることが不自然ではないため、実際会うことが難しいという理由が納得しやすいことも詐欺師にとっては好都合です。
請求額が初めは少なく徐々に多くなってくる
はじめは数万円の少額を要求して、徐々に額を大きく要求することも国際ロマンス詐欺の特徴です。
お金を貸すということは、相手を信用しているという証拠ですから、詐欺師はまず少額お金を渡すかでターゲットが自分を信用しているか見極めています。
さらに信用させるため最初のお金はきちんと返済することも多く、返済されれば安心して次にお金を要求されても応じてしまう人間の心理をうまく利用してくるのです。
また、「結婚生活のため」「2人の老後の資金を稼ぐ」などの目的で投資を誘うケースも多く、利益が出たように見せかけられると、欲が出てどんどん投資するというのも投資系国際ロマンス詐欺の特徴です。
国際ロマンス詐欺に遭わないためにできること
出会いの機会が減っている昨今、SNSやマッチングアプリはうまく活用したいものです。
とはいえ国際ロマンス詐欺との出会いは避けたいですよね。
騙された後で気づいて悔やむことがないよう、自分でできる交際ロマンス詐欺の対策をまとめました。
3つの対策はいつも心がけて、国際ロマンス詐欺に合わないようにしましょう。
ネット上で出会った相手のことを信用しすぎない
ネットでの出会いの中には、国際ロマンス詐欺師が潜んでいることを理解しておきましょう。
理想の相手が見つかると嬉しくなりますが、見た目や経歴や職業などハイスペックな相手であればあるほど危険度も高くなります。
ただしネット上で、個人情報はいくらでも捏造可能です。
写真ひとつとっても、フリー写真サイトや個人のSNSサイトから勝手に借用して使うこともありますし、経歴や勤務先も実際とは違う登録が可能です。
直接会って話したり、勤め先の具体的な部署や仕事内容など詳しく聞くまでは相手の情報を信用しない方がいいでしょう。
早い段階から恋愛を匂わせてくる人には注意する
国際ロマンス詐欺師はなるべく短期にできるだけ多くのお金を騙し取ろうとしています。
そのため恋愛関係になって信用を得るまでの時間は、短ければ短いほどいいのです。
そのため出会った直後から甘い言葉で喜ばせり、恋愛に発展しそうな空気を出してきます。
「外国人だから」と恋愛に積極的な傾向を信用せず、よく知り合わないうちから将来を描く相手は警戒しましょう。
「国際結婚を餌に騙そうとする詐欺師がいる」という知識があるだけでも、詐欺被害の抑止力になりますよ。
お金のことは慎重に判断するようにする
恋愛関係になったり結婚を意識した相手からお金の相談をされたら、応じてあげたくなるのが情というものです。
しかし、実際会ってもいないのに結婚しようと言ったり、貯金や資産について聞き出そうとする相手は要注意です。
どんな少額であっても、「きちんと会って話せなければお金は渡せない」とキッパリ断りましょう。
「お金を貸してあげるから会おう」などと持ちかけることもNGです。
会いたい気持ちを逆手に取られて、お金だけ取られて実際会うことはできないでしょう。
将来のための投資はたしかに魅力ですが、相談を持ちかけられたら必ず第三者に助言を求めましょう。
仮想通貨などの詐欺被害は入金先が複雑で、警察や弁護士を介しても返金は難しいといわれています。
お金に関することは、自分だけで判断せず、慎重に判断しましょう。
まとめ|国際ロマンス詐欺の事例から注意点を学ぼう
いかがでしたか?
国際ロマンス詐欺の実例から、特徴と対策を見てきました。
どの事例も、被害者の気持ちを悪用した卑劣な詐欺行為です。
国際ロマンス詐欺の被害に遭わないよう、自分には関係ないと思わずに「こういうこともあり得る」と心に留めておきましょう。
もしも「おかしいな」と感じたら、弁護士など専門の相談先を頼ることをお勧めします。
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