女性軍人を装ってターゲットを騙す国際ロマンス詐欺は、ミリタリー詐欺とも呼ばれインターネット上で検索すると被害報告が多く見受けられます。
また、警察庁が掲載している特殊詐欺の広報資料によると、令和3年の国際ロマンス詐欺が該当する項目の認知件数は259件で被害総額は8億円超となっており、けっして被害が小さいとはいえません。
当記事では、男性をターゲットとした国際ロマンス詐欺師が女性軍人を名乗る理由を考察しますので、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
・国際ロマンス詐欺が女性軍人を名乗る理由
・女性軍人を名乗る国際ロマンス詐欺の事例
・国際ロマンス詐欺にあってしまったときの対処方法
詐欺事件に強い弁護士事務所へ相談する
Contents
国際ロマンス詐欺師は軍人を演じている?女性軍人に騙された事例
男性をターゲットにした国際ロマンス詐欺師は、女性の軍人または軍医を演じているケースが多い傾向にありますが、いったいどのような手口で近づいてくるのでしょうか。
ここでは、実際に女性軍人に騙された事例をご紹介しますので、軍に所属する女性からメッセージが届いたという人は、こちらを参考に国際ロマンス詐欺師であるかチェックしてみてください。
事例①シリアにいる米軍医を名乗る女性に騙されたケース
ひとつめの事例は、シリアで活動する米軍医を装った女性国際ロマンス詐欺師から、FaceBookを通じてお金を要求されたケースです。
突然女性からメッセンジャーにDMが届いたことから始まり、当たり障りない会話を続けていくうちに、シリア内戦に参加している大阪出身の米軍医師でシングルマザーの白人女性だということがわかりました。過酷な境遇に同情してしまいそうでしたが、次第に結婚をほのめかし個人情報を聞き出そうと躍起になっているのを怪しいと感じ、プロフィールを調べ直したところ嘘が多いことに気がつき詐欺だと判明したのです。
事例②イエメンに派遣されている国連軍の女性兵士に出会ったケース
ふたつめの事例は、ツイッターを通してイエメンに派遣されている国連軍の女性兵士と名乗る人物に出会ったケースです。
この女性は、アメリカ人で現在イエメンに滞在しているといっていましたが、調べたところ国連軍はイエメンには滞在しておらず、日本語も英語も得意ではないというように怪しい点がいくつもありました。そこで、簡単に国際ロマンス詐欺を見破る方法のひとつである画像検索を試してみたところ、詐欺師のアカウントである可能性が高いことが発覚しお金を騙し取られる前に気がつき被害を未然に防げたのです。
事例③アフガニスタンで働く女性兵士に出会ったケース
みっつめの事例は、インターネットを通してアフガニスタンで働くシングルマザーと出会い、荷物に関わる事柄でお金をだまし取るケースです。
とある男性は、インターネット上で出会った女性兵士から戦地で臨時収入を得てアフガニスタンの外に持ち出したいので荷物の受取人になってほしいと依頼されました。これを引き受けると、税関や赤十字の職員を名乗る人物から連絡が入り違法な輸送であると罰金を求められ女性に連絡すると荷物に入っているお金で払うので立て替えてほしいと言われたのです。しかし、荷物が届くこともその女性と連絡を取ることもできなくなってしまいました。
国際ロマンス詐欺師はどうして軍人を名乗るの?
国際ロマンス詐欺被害の事例を見ていくと、軍人を名乗る人物に騙されたという報告が多数見受けられます。これは、これまで主流であった資産家や実業家といった華やかな職業より、ターゲットに信用されやすいからではないでしょうか。
ここでは、国際ロマンス詐欺師がなぜ軍人を名乗るのかを考察していきますので、ぜひ参考にしてください。
社会的な地位が高い職業だから信頼を得やすい
国際ロマンス詐欺は信頼関係を築いてから詐欺行為を働くため、社会的地位が高く信頼されやすい職業のひとつである軍人を名乗る人が多いと言われています。軍人にはいくつか種類がありますが、日本人はひとくくりに公務員のようなものと認識し安心してしまうため騙されやすいのです。
また、適当な任務や赴任先を伝えても、世界情勢に詳しくない限り嘘を見抜ける人が少ないのも理由のひとつでしょう。滞在先や任務内容を教えてもらった場合はインターネットで検索すると嘘の情報を伝えられていたというケースも少なくありません。
お金を持っている=詐欺師ではないと思ってもらいやすい
男性をターゲットにした国際ロマンス詐欺師というと、お金持ちで羽振りの良い人物をイメージする人が多いため、近年ではその逆の堅い職業である軍人を名乗るケースが増えています。一般的にお金を持って優雅に生活している女性よりも、地道にコツコツ働いている女性の方が応援したくなるという心理を利用してお金をだまし取るのでしょう。
国際ロマンス詐欺は年々被害が増加しているとともに手口も多様化してきているため、知らない人から突然メッセージが届いた段階で怪しいと考えてください。
同情を誘うような悲惨なエピソードを作りやすい
戦場で働くというと過酷な労働環境が想像されるため、同情を誘うような悲惨なエピソードを作りやすいのも国際ロマンス詐欺師が職業を軍人に設定する理由のひとつです。
例えば、シングルマザーという設定を付け加えると、給与が少なく子供達がかわいそうなので援助してほしい、という子供をダシにした送金依頼が多くみられます。思わず同情して援助したくなる気持ちもわかりますが、見ず知らずの人に金銭を要求する人は詐欺師の可能性が高いので注意してください。
国際ロマンス詐欺師が使うよくある手口は?
国際ロマンス詐欺師が使うよくある手口を事前に知っておくと被害を未然に防げますが、いったいどのように詐欺を働くのでしょうか。
ここでは、インターネット上に掲載されている国際ロマンス詐欺の被害報告をもとに、よく使われる手口を4段階に分けて紹介します。国際結婚に興味がある人や、すでに見知らぬ外国人からメッセージが届いているという人は、ぜひ参考にしてください。
マッチングアプリやSNSなどで出会うことが多い
国際ロマンス詐欺師は基本的にインターネット上のみのやり取りでお金をだまし取るため、マッチングアプリやSNSで出会うことが多いといわれています。とくに、無料で登録できるマッチングアプリやSNSの方は、身分証を提示しなくても簡単に登録でき、ニックネームも自由に設定できるので詐欺には打ってつけのツールなのではないでしょうか。
また、近年は無料通話アプリが普及しており、音声でやり取りする詐欺師もいますので気をつけてください。
積極的なアプローチで恋愛や結婚を早くから意識させる
SNSやマッチングアプリで知り合って間もない頃に、恋愛や結婚を意識させるような甘い言葉で積極的にアプローチしてくるのも国際ロマンス詐欺の特徴のひとつです。外国人は恋愛に積極的というイメージを持っている日本人が多くいるので、知り合って間もない頃に熱烈アプローチされてもあまり違和感を感じない人もいるでしょう。
しかし、どこの国出身であっても一度も会ったことがない人に知り合って早々に結婚を意識させるような人は、詐欺か遊び人であると考えてまず間違いありません。
悲しいエピソードを話して同情を誘ってくる
国際ロマンス詐欺のメッセージ内容にはは、先に説明した熱烈アプローチのほかに悲しいエピソードを話して同情を誘い、悲劇のヒロインを演じているという特徴があります。例えば、シングルマザーであったり、子供や両親が病気にかかっていたりというのが定番です。
シングルマザーの場合は死別やDVから逃げてきたという理由が多く金銭面で子供に苦労をかけているという内容が多く、子供や両親が病気にかかっている設定の場合設定の場合は治療費が高額で病院に連れていけないという内容が多い傾向にあります。
送金や投資に参加するように促してくる
国際ロマンス詐欺師は、インターネット上でターゲットを探し熱烈アプローチや不幸自慢を繰り広げたあとに送金や投資に参加するよう促してきます。出会いから金銭要求までの期間は詐欺師によりバラバラではありますが、知り合ってから数日という期間が一般的です。
一度でも援助してしまうと次から次へとお金が必要な理由が増え、要求がどんどんエスカレートしていくので気をつけてください。また、送金や投資を断ると音信不通になったり、支離滅裂な理由でヒステリックな文章を送ってきたりする人は、国際ロマンス詐欺師と判断してまず間違いないでしょう。
国際ロマンス詐欺かも?怪しい相手に出会ったらすべきこと
ここでは、先に説明した国際ロマンス詐欺師がよく使う手口に当てはまっていたり、なんとなく怪しいと感じる相手に出会ったらすべきことをご紹介します。
国際ロマンス詐欺被害を未然に防ぐには、メッセージの返信前に詐欺師かどうか見抜き、連絡を取らないことが1番効果的と言われています。しかし、対処方法を知っておくことで、返信または送金してしまった後でも被害を最小限にすることが可能です。
連絡や送金はしないようにする
SNSやマッチングアプリで知り合った女性が国際ロマンス詐欺の特徴に当てはまる人物であった場合、即座にメッセージのやり取りを中断し相手に送金してはいけません。国際ロマンス詐欺師はメッセージのやり取りで、先に説明した熱烈アプローチや悲しいエピソードの披露以外にも、ターゲットの個人情報を聞き出そうとしてきますので早めに断ち切りましょう。
また、一度も会ったことがない相手に金銭を要求するのは詐欺事件でなくとも、なにかしらのトラブルに巻き込まれる可能性が非常に高いので注意してください。
送金していた場合は証拠となるものを残しておく
万が一、送金してしまった場合は証拠となるものを残しておくことで、被害金額を取り戻せる確率が上がります。お金を取り戻すには、詐欺行為を立証し相手を特定する必要があるため、以下のような証拠が必要となるのです。
- 相手の個人情報(氏名/住所/電話番号/アカウントなど)
- メッセージのやり取り
- 電話の録音データ
- 送金先の口座情報
- 送金履歴
また、インターネット上に掲載されている情報は削除される可能性があるため、SNSやマッチングアプリのやり取りはスクリーンショットを利用して自身の端末に保存しましょう。
信頼できる弁護士や警察に相談する
国際ロマンス詐欺師に騙されすでに送金してしまった場合は、信頼できる弁護士や警察にできるだけ早く相談しましょう。賠償金は個人でも請求できますが、相手の特定や書類作成に膨大な時間を費やすため、プロである弁護士に任せるのがおすすめです。いきなり弁護士に依頼するのはハードルが高いと感じている人は、無料相談を利用してみましょう。
また、警察への相談は証拠が少なく被害届が提出できなくとも、新たな被害を未然に防ぐ効果があるため必ずしてください。
まとめ|国際ロマンス詐欺師は軍人を名乗る可能性が高い
SNSやマッチングアプリで女性軍人を名乗る人は、国際ロマンス詐欺の事例をみていくと、詐欺師の可能性が非常に高いといえるでしょう。悲しいエピソードについ同情して送金したくなってしまう気持ちもわかりますが、話のほとんどが嘘である可能性が高いので送金はしないでください。万が一、個人情報を渡してしまったり送金してしまったりした場合は、できるだけ早く信頼できる弁護士や警察に相談しましょう。
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